单项选择题満足 乙武洋匡 ――五体満足でさえいてくれれば、どんな子でもいい―― これから生まれてくる子どもに対して、親が馳せる想いはさまざまだろうが、最低限の条件として、上のような言葉をよく耳にする。 だが、ボクは五体不満足な子として生まれた。不満足どころか、五体のうち四体までがない。そう考えると、ボクは最低条件すら満たすことのできなかった、親不孝な息子ということになる。 だが、その見方も正しくはないようだ。両親は、ボクが障碍者として生まれたことで、嘆き悲しむようなこともなかったし、どんな子を育てるにしても苦労はつきものと、意にも介さない様子だった。何より、ボク自身が毎日の生活を楽しんでいる。多くの友人に囲まれ、車椅子とともに飛び歩く今の生活に、何ひとつ不満はない。 胎児診断、もしくは出生前診断と呼ばれるものがある。文字通り、母親の胎内にいる子どもの検査をするというものだが、この時、子どもに障害があると分かると、ほとんどの場合が中絶希望するという。 ある意味、仕方のないことなのかもしれない。障碍者とほとんど接点を持たずに過ごしてきた人が、突然、「あなたのお子さんは、障碍者です」という宣告を受けたら、やはり育てていく勇気や自信はないだろう。ボクの母も「もし、私も胎児診断を受けていて、自分のお腹のなかにいる子に手も足もないということが分かったら、正直に言って、あなたを産んでいたかどうか自信がない」という。 だからこそ、声を大にして言いたい。「障害を持っていても、ボクは毎日が楽しいよ」。健常者として生まれても、ふさぎこんだ暗い人生を送る人もいる。そうかと思えば、手も足もないのに、毎日ノー天気に生きている人間もいる。関係ないのだ、障害なんて。 そうしたメッセージを伝えるためにも、この本のタイトルをあえて『五体不満足』という、少々、ショッキングなものとした。五体が満足だろうと、不満足だろうと、幸せな人生を送るには関係ない。そのことを伝えたかった。身体に障害をお持ちの方で、この『五体不満足』というタイトルを見て、不快に感じた方もいらっしゃるかもしれない。だが、そうしたボクの意図に、理解を示していただければありがたい。 (『五体不満足』講談社) 注釈 1.つきもの:あるものに必ず附属しているもの。 2.中絶:妊娠中に、人為的に流産や早産をさせること。 3.ふさぎこむ:非常に憂鬱な気分になる。 4.タイトル:本や映画などの題名。 A.前の人が言った言葉の最後の音で始まる言葉を言いつなげていく言葉の遊び。B.同じ音や発音しにくい音の続く言葉を、なるべく早くいう遊び。C.滑稽な話を身振りをまじえて語り、みんなに笑ってもらう語芸。D.同音または似た発音で意味の違う言葉を利用し、おもしろおかしく言い表す言い回し。